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専門医に聞く 乾癬治療のフロントライン

遠慮せずに、どんなことでも皮膚科医に相談を。必ず道は開けます。 東京医科大学皮膚科学教室准教授 大久保 ゆかり 先生

●TNFα阻害薬のすぐれた症状改善効果は、QOLにも好影響

-乾癬の治療に、TNFα阻害薬が使われるようになりました。
 この新しい薬には、どのようなメリットがあるのでしょうか?

TNFα阻害薬はまず、効果にすぐれていることが特徴です。皮膚、爪、関節などさまざまな症状に有効で、効果の現れ方も速やかです。ステロイドやビタミンD3などの外用薬を塗布する外用療法、紫外線を照射する光線療法、免疫の異常を調節する薬を服用する内服療法など、これまでの治療がうまくいかなかった患者さんや、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症など重症の患者さんにも効果があるので、こうした患者さんには待ちに待った薬といえます。
乾癬はアトピー性皮膚炎に比べるとかゆみのレベルは低いといわれていますが、私たちの調査では7~8割の患者さんがかゆみを感じており、とくに頭皮の症状は強いかゆみをもたらすことがあります。かゆいところを掻くと、症状がますます悪化してしまいます。これはケブネル現象といって、乾癬の特徴の1つです。全身療法はかゆみに効果があるものの、薬の内服をやめると戻ることが多いです。TNFα阻害薬はほとんどの症例のかゆみにも効果があるので、強いかゆみでQOLが低下している患者さんには積極的に使用しています。
また、爪の症状も従来の治療は効果が出にくく、治療に苦労することが多かったのですが、TNFα阻害薬は爪にも高い効果が期待できます。
一方、全身の皮疹についても、TNFα阻害薬によって症状が良くなると、塗り薬の量や使用回数を減らすことができます。塗り薬は毎日使わなくてはならないし、塗ったところがべたつくので、ストレスを感じておられる方が少なくありません。このストレスから解放されるのはQOL向上への一歩です。

●良くなった患者さんの喜びは、皮膚科医にとっても喜び

-実際にTNFα阻害薬の投与を受けた患者さんの声をお聞かせいただけますか?

乾癬が良くなると、これまでできなかったことができるようになります。私たちの病院に通院中の患者さんの中にも、TNFα阻害薬による治療を受けて温泉に行けるようになったり、プレー後の入浴を友人達と一緒に入りたくないために、ゴルフを避けていた方がゴルフに行けるようになったり、仕事をバリバリ頑張って営業成績が上がり、会社から海外への家族旅行を進呈された患者さんなど、喜びの声を聞かせてくれる方が何人もおられます。
また、TNFα阻害薬を使った男性患者さんが、「実は結婚して、新婚旅行に行ってきました」とおみやげを持って来てくれたときは、すごく嬉しかったですね。症状が良くなって患者さんが喜んでくれること、笑顔のなかった患者さんの笑顔がみられるようになること、そんなことが私たち皮膚科医には、一番嬉しいのです。

●皮膚以外の症状も、遠慮なく、皮膚科医に相談を

-最後に乾癬患者さんに、メッセージをお願いします。

東京医科大学皮膚科学教室准教授 大久保 ゆかり 先生

乾癬の治療は、選択肢が増えました。治らないとあきらめている患者さんがまだたくさんおられますが、あきらめないでほしいと思います。あきらめないで治療を続けることこそが大切なのです。
私たちは、患者さんの生活、職業、将来への希望などを伺い、今できる治療の中からその患者さんに最も適したオーダーメイド治療をすることをめざしています。今までできなかったことが普通にできるようになることを、私たちは目標にしています。
また、乾癬の患者さんに関節の痛みが生じた場合、「皮膚の症状ではないから、乾癬とは関係ない」と思われてしまうことが多いのですが、これも乾癬の症状の1つである可能性があるので、皮膚科医にも相談してほしいと思います。
躊躇せず、遠慮せず、恥ずかしがらずに、なんでも皮膚科医に相談してください。必ず道は開けます。