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東京医科大学の大久保ゆかり先生は、乾癬の治療において、患者さんの「生活の質(Quality of Life;QOL)」を重視されています。今回は、「QOL向上をめざした乾癬治療」にTNFα阻害薬がどのような役割を担っているのかを伺いました。
-乾癬は、「QOLの低下が大きい病気の1つ」といわれています。
具体的にはどういうことなのでしょうか?

皮膚病は、“生命を脅かすことのない軽い病気”と考えられがちです。しかし、そうではありません。皮膚というのは、実は「全身の鏡」。乾癬の主な症状は紅斑[こうはん]や鱗屑[りんせつ]など皮膚の症状ですが、関節や眼、腸などにも症状が現れる場合があり、決して軽い病気ではありません。例えば、関節症性乾癬というタイプの場合、強い関節痛や関節の変形が起こります。このように、乾癬は単なる皮膚病ではなく、“全身病が皮膚に現れている”ともいえます。
そして、これらの症状は、患者さんにつらい思いをさせてしまいます。たとえば、手や爪に症状があると、仕事で名刺交換をする時に「どうしたのですか?」といわれてしまうことがあります。初対面では事情がわからないので、「うつるのではないか」と心配されてしまうと、患者さんはつらい思いをされます。また、頭のフケ(鱗屑)が多くて、毎日、職場の自分のデスクの周りを掃除されているという方もおられます。不潔、汚いなどと思われることを心配しながら、毎日生活なさっているのです。これらはみな、患者さんの生活の質、つまり「QOL(Quality of Life)」の低下につながります。
QOLの低下は、皮疹の強さや範囲と必ずしも一致しません。私たちは、皮疹の程度とQOLの関係を調べたことがあるのですが、皮疹が軽くてもQOLが大きく低下している患者さんがたくさんおられることがわかりました。たとえ皮疹が軽くても、出ている範囲が狭くても患者さんがつらいと感じておられるならば、それはQOLが低下しているということです。私は、乾癬というのは単に症状の改善を図るだけでなく、患者さんの「QOL向上」をめざして治療することが大事だと考えています。
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