ホーム > 専門医に聞く 乾癬治療のフロントライン > 旭川医科大学 飯塚先生-1
乾癬治療にTNFα(ティー・エヌ・エフ・アルファ)阻害薬という新たな治療法が加わりました。今回は、TNFα阻害薬の認可に日本乾癬学会理事長(当時)としてご尽力された旭川医科大学皮膚科教授・飯塚 一先生に、TNFα阻害薬が認可されるまでの経緯や実際に治療にお使いになったときの印象などを伺いました。
−乾癬の病態は、どこまで解明されたのでしょうか?
乾癬は原因の解明が難しい病気といわれてきましたが、現在では乾癬の病態に「TNFα」と呼ばれる体内物質が深く関わっていることがわかっています。また、このTNFαを産生するTIP-DCという細胞や、免疫に関係するTh17という細胞には、乾癬という病気のスイッチを入れる働きがあるといわれています。
乾癬の患部ではこのTNFαが大量につくり出されていることが知られており、乾癬の新しい治療薬「TNFα阻害薬」はTNFαの働きをブロックすることによって効果を発揮します。
このように、乾癬を引き起こすメカニズムが明らかになってきて、何を標的に治療をすればよいかが見えてきたことによって、納得のいく治療スキームができつつあると感じています。また、新しい治療薬の登場は、自分たちの治療がどこを目指しているのかということを、もう一度考え直すきっかけにもなっています。
−TNFα阻害薬の開発、認可の経緯をお聞かせいただけますか?
TNFα阻害薬は、諸外国でまず使われ始めました。高い有効率が報告されていて、よく効く薬という情報は早くから日本にも入ってきていました。日本の乾癬患者数は10~20万人と推定されていますが、難治性の病気なので、新薬に対する期待は非常に大きかったと思います。日本には全国各地に乾癬患者さんの会がありますが、彼らが中心となって、新薬の早期認可を求める署名活動が行われました。その反響はとても大きく、3ヵ月で3万人以上の署名が集まりました。
当時、私は日本乾癬学会の理事長をしており、日本乾癬学会や日本皮膚科学会も、TNFα阻害薬の早期認可を求めて厚生労働省に働きかけを行いましたが、TNFα阻害薬の認可を促した一番の原動力は、患者さんの力、患者会の署名活動であったと思います。
−TNFα阻害薬の印象をお聞かせいただけますか?

旭川医科大学の皮膚科では現在、約20名の乾癬患者さんにTNFα阻害薬を使用しています。TNFα阻害薬には2つのタイプがありますが、点滴で投与するTNFα阻害薬は効果が早く現れること、皮膚症状の改善効果がすぐれること、膿疱性乾癬や乾癬性紅皮症など重症な患者さんにも広く使えることなどが利点です。
乾癬の皮膚症状の重症度や治療効果を評価するときには「PASIスコア」と呼ばれる指標を使います。通常の臨床試験では、投与を始めてから10週間後のPASIスコアを評価することが多いのですが、点滴製剤のTNFα阻害薬の場合、10週を待たずとも効果がみられます。また、PASIスコアが治療開始前よりも90%以上改善するというのは、皮疹がほとんど消失した状態なのですが、約6割の患者さんがこの状態に達したというデータもあります。このような良い成績は、従来の治療ではまずあり得なかったことです。

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