ホーム > 専門医に聞く 乾癬治療のフロントライン > NTT東日本関東病院 五十嵐先生-1
TNFα(ティー・エヌ・エフ・アルファ)阻害薬が登場して、乾癬の治療は今、大きく変化しています。そこで、乾癬治療のエキスパートであるNTT東日本関東病院皮膚科部長の五十嵐敦之先生に、TNFα阻害薬をどんなときにお使いになるのか、治療の実際を伺いました。
−現在、乾癬にどのような治療を行っておられますか?
当院では、約200人の乾癬患者さんを診療しています。重症度は、軽症:中等症:重症がほぼ4:3:3の割合です。乾癬治療の基本は外用療法で、当院では、ほぼすべての患者さんに行っています。具体的には、炎症を抑えるステロイド外用薬と皮膚細胞の異常な増殖を抑えるビタミンD3外用薬を組み合わせて使用しています。
外用療法で改善しない場合や広い範囲に症状が出ている場合は、光線療法を考慮します。光線療法は、光源ランプから光線を患部に直接照射する治療法です。現在行っているのは、中波長紫外線(UVB)の中でも、治療効果と安全性が高い領域の波長だけを照射するナローバンドUVBです。ナローバンドUVBは、約20人の患者さんに行っていますが、よく効くケースがあります。
しかし、光線療法は週に1~2回の通院が必要です。そのため、会社員の患者さんには、「仕事が忙しくて、そんなにしょっちゅう通えない」とよくいわれます。その場合は、全身療法(内服薬による治療)を考慮します。
全身療法には、免疫反応を抑える働きのある免疫抑制薬、皮膚細胞の異常な増殖を抑える角化症治療薬という2つの内服薬が使われます。当院では免疫抑制薬を使用している患者さんが多く、約50人が使用しています。
こうした従来からの治療に加えて、新しく登場したTNFα阻害薬による治療も行っています。
−乾癬の治療で、特に大切になさっていることは?

他院から来られた患者さんに、「これまで使っていた外用療法は全然効かなかった」といわれることがあるのですが、実は、こうしたときに「外用療法だけでは不十分」という判断を即座にしないようにしています。
皮膚疾患の治療の基本は外用療法です。しかし実際には、きちんと塗っていない患者さんが少なくありません。外用療法の効果を確かめるためには、きちんと塗っていないから効かないのか、それとも、しっかり塗っているのに効かないのかを見直す必要があります。
患者さんが外用薬をきちんと塗らなくなってしまう原因の1つには、医師の説明不足もあると感じています。ある患者さんに「外用薬ではちっとも良くならない」と泣かれたことがあるのですが、薬の作用、副作用、外用療法の重要性、薬の適切な塗り方を改めて指導した上で、ステロイド外用薬とビタミンD3外用薬を処方したところ、2週間でずいぶんと症状が良くなり、非常に感謝されました。うれしく思った一方で、本来、なすべきことであるはずの「適切な説明」が十分ではなかったことが、きちんと塗れていない原因であったのだと痛感しました。
乾癬の治療では外用療法に限らず、病気や治療についての適切な説明と理解、それによって築かれる医師と患者さんとの信頼関係が何より大切です。信頼関係を築くことができれば、患者さんは治療を受け入れて、前向きに取り組んでくれます。それこそが治療成功のポイントだと思っています。

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