ホーム > 専門医に聞く 乾癬治療のフロントライン > 慈恵医大 中川先生-1
原因不明といわれる乾癬ですが、近年、病態の解明が進み、TNFα(ティー・エヌ・エフ・アルファ)と呼ばれる物質が、その発症に深く関わっていることがわかってきました。また、治療も進歩し、「早く効く」「よく効く」の患者の2大ニーズを満たす新薬「TNFα阻害薬」の登場により、乾癬治療が大きく変わろうとしています。
そこで、乾癬治療の専門家である東京慈恵会医科大学皮膚科教授の中川秀己先生に、乾癬という病気、病態解明と治療の進歩、患者ニーズと新しい治療の方向性、患者さんへのメッセージなどについてお話を伺いました。
−乾癬は「原因がよくわからない病気」といわれていますが、どのくらい解明が進んできたのでしょうか?
乾癬は、原因不明の病気といわれていますが、発症のメカニズムや病態などは、かなりわかってきています。
乾癬は、多因子遺伝性疾患と呼ばれています。すなわち、患者さんには病気になりやすい遺伝的素因があり、その素因の染色体の部位、変異などがわかっています。ただ、なりやすい素因があっても病気にならない人はたくさんいるわけで、乾癬は、そうした素因の上に、ストレス、不規則な生活、肥満、薬剤などの環境因子が加わって発症すると考えられています。
病態の解明も進んでいますが、実は偶然の発見によるところが大きいのです。たとえば、免疫反応の異常を抑える薬剤を使用したところ、乾癬が改善したことから、免疫の関与がわかってきました。また、乾癬を合併しているクローン病の患者さんにTNFα阻害薬を投与したところ、偶然にも乾癬の症状が改善したことから、乾癬に対してもTNFαの関与が注目されました。
最近では、このTNFαが乾癬の病態に重要な役割を果たしていることがわかり、治療のターゲットとなっています。
−病態の解明が進むとともに、治療も変わってきているのでしょうか?

乾癬の病態の中心は表皮細胞(ひょうひさいぼう;皮膚の最も外側の層にある細胞)の増殖にあると考えられてきましたが、その後、免疫の異常が関わっていることが明らかになりました。そのため現在では、ステロイドや活性型ビタミンD3の外用薬、シクロスポリンやレチノイド(ビタミンA誘導体)の内服薬、光線療法など、何らかの形で免疫の異常に働きかける治療が行われています。
さらに、どのような細胞が免疫の異常に関係しているのかということも、次々とわかってきています。ほんの数年前までは、白血球の一種であるTh1(ティー・エイチ1)細胞が免疫異常の主役とされていましたが、最近では樹状細胞(じゅじょうさいぼう)やTh17(ティー・エイチ17)細胞が主役とみなされるようになりました。
TNFαは、これらの細胞から産生される物質の1つであり、乾癬の病態において重要な役割を果たしています。
そして、そのTNFαをピンポイントで抑える新しい治療薬が「TNFα阻害薬」です。TNFαは乾癬の発症や維持など様々な場面に関わっているので、TNFαを阻害する薬剤の治療効果は高いといえます。
特に点滴で投与するTNFα阻害薬は、皮膚の症状に対して速やかな効果を発揮するのが特徴です。また、爪の症状や関節の痛みなど、患者さんのQOLを低下させていた難治性の症状にも改善が期待できます。

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